平成28年1月15日に発生した軽井沢スキーバス転落事故から約7年半が経過し、
長野地方裁判所は、令和5年6月8日、運行会社イーエスピーの社長及び運行管理者に対し、
実刑判決を言い渡しました。
この事件は、会社の役職員の個人に対する業務上過失致死傷罪の責任を問う裁判でしたが、
裁判所の判決では「事故を防止するために事業者や運行管理者に多角的、重層的な義務」があるなどとして、組織のシステムに問題があることをしっかり指摘し、
「両被告の過失が重なって事故に結びついたと評価」するとして、組織内における過失の重なりという現象を鋭く突きました。
さらに、実刑に処する量刑の判断の中で「安全管理を改めようとせず、利益を優先して輸送の安全確保を軽視し続けた」ことを指摘し、
組織責任の問題であることを重視しました。
この判決は、実質的に、会社の組織的な責任に斬り込んだ画期的な判断だと評価できます。
この裁判に向き合った遺族の取り組みに敬意を表すると共に、
大企業など大規模で複雑な組織であっても、この判決と同様の視点で組織の責任を正面から問えるようにするため、
「組織罰」を問う法制度の実現に向けてさらに歩を進めていく所存です。