「組織罰」とは、安全管理上の過失により、人の死傷という重大な結果を発生させた企業・法人や国・地方公共団体所有の事業組織など(以下、「企業・団体など」という)に、高額な罰金を科すなどして安全管理の重要性を認識させ、二度と同様の事故を起こさないように対策を迫ることを目的とした、組織の責任を問う刑事罰です。
私たちの社会では今なお、悲惨な事故や事件が絶えません。安全・安心な社会を実現するためには、事故・事件を減らしていくことが重要です。
企業・団体などの役員・幹部が、経費節減や経済性重視のために、安全設備の整備や人員配置を怠り、業務に直接携わる社員・従業員に無理な業務遂行をさせてしまうことが、事故の要因となっている場合が多々あります。
このような問題を解決しようというのが、私たちが提案する組織罰です。すなわち、刑法の業務上過失致死罪に「両罰規定」を特別法で導入し、企業・団体などに罰金刑などを科して、{組織の責任を問う}というものです。
この場合、立証責任を組織側(被告側)に課し、事故防止のために組織側が、安全対策を十分に講じていたということが立証できれば、免責されて責任は問われません。
*両罰規定とは、事故に直接関係した従業員個人とともに、その個人が所属する企業・団体などの組織にも罰を科すことができる規定です。両罰規定は、労働基準法や公害犯罪法、金融商品取引法、消防法などに存在します。しかし、業務上過失致死罪には適用されていません。
なお、特別法とは、刑法そのものではなく、刑法に付属するものです。
近年、企業・団体などにおいて、社会的責任を果たそうとする経営者が増えていますが、そのような流れを加速するためにも、組織罰の実現が重要です。
組織罰の趣旨は、厳罰化というよりも、法の不備を整える「適正化」です。これは、悲惨な事故の再発防止を強く願う、多くの犠牲者遺族の切なる願いでもあります。